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活動紹介

2025年3月18日

2024年度実証検証レポート④「ITエンジニア創出事業」

地域産業の未来を支えるIT人材を育成する
若年層向けの出前授業を通じて、通信技術とIoT技術に触れ将来のITキャリアに対する関心を高める
 地方におけるIT人材育成は、地域産業の発展に不可欠です。しかし、盛岡市を含む地方都市では、IoTやAI技術を活用した作業効率の向上や経営の高度化が求められる一方で、それらを支える高度なIT人材が不足しています。この課題を解決するため、地域の高校に出向き、通信技術やIoT技術を学ぶ出前授業を実施しました。講座では、東日本旅客鉄道株式会社が持つ先端技術に触れ、理論だけでなく実践的な技術も体験できるよう工夫しました。これにより若年層のIT分野への関心を高めることに成功しました。今後も、この取り組みを継続し、次世代のIT人材を育成し、地域社会のデジタル化を支える基盤づくりに貢献していきます。

 

地方を支えるIT人材育成の重要性
 日本全国で進むデジタル化やDXの波により、IT分野の人材不足が深刻化しています。特に地方では、高度なITスキルを持つ人材が著しく不足しており、解決すべき重要な課題となっています。
 また、盛岡市をはじめとする岩手県内でも、製造業を中心に様々な地域産業で、デジタル技術の活用が求められています。たとえば、IoT技術による作業効率の向上や、AIを活用したデータ分析による経営の高度化などがその一例です。しかし、こうした技術を支えるIT人材の不足は、地域産業の発展を妨げる要因となっています。さらに、このような状況は若者にとって、地域産業でのキャリア選択の幅を狭める結果となり、地域の発展にも悪影響を与えています。

 

地域産業を支える次世代IT人材育成
 前述の通り、IT人材の育成と確保が求められていますが、特に地方では高校生など若年層向けの高度なIT教育の機会が限られているのが現状です。そこで、本取り組みでは高校生を対象に、通信技術やIoT技術を学ぶ機会を提供します。通信技術はIoTやクラウドサービスなど、現代のデジタル社会を支える基盤技術であり、これを学ぶことでIT分野への関心を高めることを目的としています。
 また、東日本旅客鉄道株式会社が持つ通信技術に触れることで、実社会で活用されている先端技術を体験し、ITが地域社会やインフラの発展にどのように寄与しているかを学びます。この体験を通じて、受講した高校生たちは技術を身近に感じ、IT分野への関心を高めることが期待されます。

 

持ち運べるIT教材で学ぶ通信技術
 実践的な通信技術やIoT技術を学ぶ教材として、ルータ、スイッチ、人感センサー、スイッチボットを一つのバックにまとめた教材セットを作成しました。この教材セットをワンバックにまとめ、持ち運べるようにした理由は、東日本旅客鉄道株式会社の拠点での講座に加え、出前授業として高校に出向き、さまざまな場所で講座を提供できるようにするためです。
 また、講座は参加者が効率的に学べるように工夫しました。最初に、基本的な理論や技術の説明を行い、その後、実際に機材を使っての演習に移ります。演習では、参加者がルータやスイッチの設定を行い、ネットワークを構築します。その後、人感センサーやスイッチボットをリモートで操作し、実際のネットワーク機器やIoTデバイスがどのように動作し、生活や産業にどのように役立つのかを体験します。この実践的な学びを通じて、参加者はIoT技術の基本的な仕組みを理解し、将来のITキャリアに対する関心を高めることができます。

 

次世代IT人材育成に向けた出前授業
 盛岡市内の2つの高校に出向き、出前授業を開催しました。参加した高校生からは、「今回の出前授業を通じて、ネットワークについての考え方が身についた。」「今回は、風速状態監視装置を遠隔で制御したが、もっと色々な分野でもこの技術が使えると思った。」「今後、Python等の言語を使い、コンピュータの操作を自動化させていくことなど、もっと学びたいと思った。」「普段勉強しているC言語などが、どのようにJRの仕事につながるのか、もっと知りたい。」という声が聞かれました。
 特に、実際のデバイスを操作しながら学べることで、理論だけではなく技術を体験できたことが、参加者の関心をより高めたと感じます。今回の出前授業を通じて、IT分野の重要性や魅力を広めることができました。授業後には、多くの生徒がIoTやネットワーク技術に対して興味を持ち、さらに深く学びたいという意欲を示していただき、大きな手応えを感じました。今後も、こうした出前授業を通じて、次世代のIT人材を育成し、地域のデジタル化を支える基盤づくりに貢献していきたいと考えています。

事業に対する思い
東日本旅客鉄道株式会社盛岡支社 盛岡信号通信設備技術センター 所長 杉本純至様
 出前授業に参加した高校生が、IoTや通信技術に興味を持ち、さらに学びたいと思ってくれたことは、非常に嬉しい成果です。また、今回の取り組みを通じて、IT分野で活躍する若い人材が増え、地域のデジタル化や産業の発展に貢献できると確信しています。IT技術の魅力や可能性を若い世代に広め、次世代のリーダー育成に向けた支援を今後も積極的に行い、地域社会の発展に貢献していきます。