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活動紹介

2025年3月18日

2024年度実証検証レポート③「Bluetooth機器による市街混雑状況可視化事業」

Bluetoothセンサーで市街地の動きを可視化
コロナ後の新しい社会状況下での人の動きを把握し、盛岡における都市課題解決を支援
 観光や商業の活気が街に戻る中、人の流れが増加し、混雑の緩和やスムーズな移動の確保がこれまで以上に求められています。しかし、従来の目視による人流観測では、詳細なデータをリアルタイムに収集することが難しく、また突発的な混雑への迅速な対応にも限界がありました。そこで市内各所にBluetoothセンサーを設置し、匿名化された人流データをリアルタイムに収集・分析する仕組みを構築しました。混雑状況の把握や訪問者の傾向分析により、人流管理や施設運営の最適化の可能性を探ります。この取り組みは、快適で調和のとれた街づくりを支える基盤となり、観光・商業・行政をはじめとする多様な分野での活用が期待されています。

 

人の流れを活かした街づくり
 新型コロナウイルス感染症が、5類感染症に移行され、盛岡の街にも人の賑わいが戻ってきました。観光や商業が再び活気を取り戻しつつある中、盛岡はその魅力が世界的にも評価されています。この結果、多くの観光客が訪れるようになり、街全体がこれまで以上に活気づいています。
 一方で、住民や観光客を含む街を歩く人の増加に伴い、観光地や商業施設での混雑緩和や、主要エリアでのスムーズな人の流れを確保することが求められます。そのためには、リアルタイムに近い形で正確に人の流れを把握し、さらにそのデータを分析し、柔軟かつ適切な運営や改善策を迅速に講じることが必要です。
 こうした取り組みは、観光客が快適に過ごせる環境を整えるだけでなく、地域住民の暮らしの質を高め、盛岡がさらなる魅力を発揮するためにも不可欠です。

 

人流把握の課題
 従来、人の流れは人の目で確認し、計測していく方法が主流でした。しかし、この方法ではリアルタイムでの正確なデータ収集が難しく、混雑のピークや人々の移動パターンを詳細に把握することは困難です。
 また、観察や計測には多大な人的コストがかかる上、収集されたデータの範囲が限定的であり、特定の時間帯や場所に依存する傾向があります。さらに、突発的な混雑やイベント時の人の動きなど、ダイナミックな状況変化には対応しきれず、事前に十分な準備をすることが難しいという課題もあります。このような課題を解決するには、デジタル技術を活用し、効率的かつ正確に人流を把握する新しい方法が求められています。

 

Bluetoothセンサーで市街地の動きをリアルタイムに可視化
 この課題を解決するために、人が保持するスマートフォンなどから発せられるBluetooth信号に着目しました。Bluetooth信号をセンサーで検知することで、特定のエリア内の人の流れをリアルタイムに把握し、可視化することが可能になります。
 本取り組みでは、Bluetoothセンサーを街中に配置し、人々の移動データをリアルタイムに収集・分析する仕組みを構築しました。Bluetoothセンサーは、設置場所から半径15メートル以内の歩行者が所持するスマートフォンなどのBluetooth信号を検知し、匿名化されたデータとしてインターネットを通じて蓄積されます。そのデータを分析・活用することで、観光地や商業施設、公共施設における混雑状況をリアルタイムで把握し、従来の目視による観察の課題を克服することが可能になります。

 

混雑状況を可視化
Bluetoothセンサーによる人流分析の可能性
 Bluetooth信号を活用し、人の流れをリアルタイムに可視化できることを検証するため、盛岡駅前を中心とした飲食店やホテル、人の往来が多い通勤路や市役所、さらに混雑が予想される盛岡さんさ踊り会場にBluetoothセンサーを設置しました。
 この実証実験では、観光客や市民の日常的な移動データから、大規模イベント時の混雑状況まで、幅広いデータを収集することができました。特に、盛岡さんさ踊りの会場では、1分間に5,000人の人の流れを把握でき、本取り組みの有効性を確認しました。また、飲食店やホテルでは、訪問者の滞在傾向やリピート状況を分析し、施設運営への活用可能性を確認しました。
 このように、多様なエリアにBluetoothセンサーを設置することで、観光・商業・行政の各分野において街の動きを把握し、詳細な分析が可能となり、さまざまな分野での活用が期待されます。

 

 

事業に対する思い
株式会社Badass 代表取締役 田中裕也様
 この実証実験は、盛岡市の未来を支える重要な一歩であると考えています。観光地としての盛岡の魅力が国内外で高まる中で、街を訪れる人々がより快適に過ごせる環境を整え、地域住民との調和を図ることが不可欠です。また、観光だけでなく、商業や行政の場でもデータを活用することで、より効率的で持続可能な運営が可能になると信じています。今後もデータ活用を通じた地域貢献に取り組み、安心で快適な街づくりを支援していきます。