MULTI MONO Morioka

活動紹介

2025年3月18日

2024年度実証検証レポート①「非接触型バイタルセンサークラウド運用システムの実証実験」

非接触型バイタルセンシングとクラウドAIで切り拓く、
安心で快適な健康管理と持続可能な医療の未来
 高齢社会を迎えた日本では、健康管理の重要性がますます高まっています。従来の健康モニタリングは接触型センサーが主流でしたが、装着時の身体的負担が大きく、高齢者や子どもには不向きでした。そこで、非接触型センサー(ミリ波レーダー)を活用し、身体に触れずに皮膚表面の微細な変化をクラウド上にデータとして収集し、AIモデルによる呼吸運動の正確な予測を可能にしました。実証実験の結果、本事業で構築したAIは、医師等の診断結果と同等の精度で呼吸運動を予測できることが確認されました。この技術により、センサーを装着せずに健康状態をモニタリングでき、異常の早期発見や迅速な対応が可能となります。さらに、高齢者や入院患者の遠隔モニタリングを実現し、急変時の早期検知にも活用が期待されます。デジタル技術を通じて、誰もが安心して健康的な生活を送れる社会の実現を目指しています。

 

持続可能な医療を支える技術
 高齢化が進む日本では、医療現場や地域社会における健康管理の課題が深刻化しています。特に、高齢者や子どもを対象とした健康モニタリングでは、従来の接触型センサーが装着の難しさや身体的負担の大きさといった問題を抱え、長時間の使用が困難な場合があります。そのため、負担の少ないモニタリング技術の導入が急務となっています。
 また医療現場では、看護師が巡回し患者の異常を直接確認しています。しかし、異常の早期発見には巡回頻度を上げる必要があり、その負担が課題になっています。そのため、自動化技術による効率化が強く求められています。自動化によるリアルタイムなモニタリングは、異常の早期発見や患者の安全向上に寄与し、看護師の負担も軽減します。
 さらに、地方では医療資源の不足が深刻な課題となっています。この問題を解決するには、効率化技術の活用が不可欠であり、リアルタイムに患者の健康状態をモニタリング、解析する技術は、持続可能な医療システムの構築に重要な役割を果たすと期待されます。

 

求められる非接触型モニタリング
 私たちの健康状態を把握するには、呼吸・心拍・体動などの生体情報が重要です。これらを収集するバイタルセンサーの多くは接触型ですが、必ずしも高い精度が得られるとは限りません。特に呼吸運動については、医療用の心電図モニターであっても直接的に測定するのではなく、周期的な電気信号をもとに推定・提示しています。呼吸運動に関わる疾患の一つに睡眠時無呼吸症候群がありますが、その診断には多数のセンサーを装着する必要があり、不快感が課題となっています。そのため、身体に触れることなく正確に生体情報を取得できる非接触型モニタリング技術への期待が高まっています。

 

非接触型バイタルセンシングとクラウドAI
 本取り組みでは、従来の生体情報モニタリングにおける課題を解決するため、非接触型バイタルセンサーを用いてデータを収集し、クラウド上のAIによるリアルタイム解析の実現を目指しています。センサーには79GHz帯のミリ波レーダーを使用し、理論上、数十ミクロン単位で、胸部や腹部の呼吸運動や首周辺の血管の拍動まで計測することが可能です。つまり、身体に触れずに皮膚表面の微細な変化を捉えます。
 さらに、クラウド上にデータを収集し、それを基に呼吸運動を正確に予測するAIモデルを構築しました。この技術により、非接触でありながら、現在最も精度の高い接触型バイタルセンサーと同等のデータ精度を実現できる可能性があります。
 また、高精度の非接触バイタルセンサーの実現により、異常の早期発見や迅速な対応が可能となり、患者や利用者の安全性が大幅に向上します。たとえば、睡眠時無呼吸症候群の診断では、センサーを装着する必要がなく、快適な状態でモニタリングが可能になります。また、高齢者や入院患者を遠隔でモニタリングし、急変を迅速に検知するといった利用も期待されます。

 

AIによる呼吸予測の高精度性を実証
 AIの精度を高めるために、ミリ波反射波を計測する際に、睡眠時の呼吸障害を診断する「睡眠評価装置」で、呼吸運動のうち、鼻腔内圧、胸部呼吸運動、腹部呼吸運動のデータを同時に採録し、これらのデータから、医師と検査技師が時間当たりの「呼吸数」(※)を数え、採録した呼吸運動のデータとともに、教師データとして、機械学習しました。
※正確な呼吸数は自動では計測できません
 結果、呼吸数の予測値は、医師や検査技師が診断した結果と、90%以上の確度で一致し、AIが正確に呼吸運動を数値化できることを証明しました。これまでのミリ波レーダーを使ったバイタルセンシング技術は、反射波から周期性の変化のある波形を抽出し、それを「呼吸運動」と見なしていました。一方、呼吸運動は人によってさまざまで、周期的な運動であっても実際の呼吸がないこともあり、私たちのAIモデルは、周期性によらず全ての反射波のデータを対象として、「呼吸数」の教師データを基に、呼吸運動と関わりのある反射波を学習しました。
 この点において、私たちの手法は革新的で、今後、ミリ波反射波のデータをさらに蓄積し、呼吸運動について機械学習することで、より高い精度と汎用性が期待できます。

 

事業に対する思い
株式会社アービヴェック 代表取締役 人見次郎様
 当社は、皆さんが快適かつ安全で健康的に生活できる世の中を目指しています。生体情報を正確に、負担無く、計測できるデバイスの製作と可視化のためのシステムを構築することで、社会貢献を果たして参ります。