2024年6月15日
2023年度実証実験レポート②「InQrossカイゼンメーカー広域版開発の実証実験」
InQross カイゼンメーカーで人の見える化を行い、工場の現場を改善。
従来製品より、カバーできる範囲を広く拡張した広域版の開発に挑む。
製造業の生産現場では、近年IoT化が進み見える化による改善が行われています。
株式会社イーアールアイでは、生産現場で働く人の見える化を行う製品としてInQrossカイゼンメーカーを開発・販売しています。
このInQrossカイゼンメーカーは手軽に設置でき、多くの生産現場に導入されています。
しかし、情報を収集できる範囲は50m×50mのエリアに限定される制約があり、大規模な工場では現場全域をカバーしきれない課題がありました。
そこで従来からの手軽さを維持しつつ敷地面積の広い工場でも使える広域版のInQrossカイゼンメーカーを開発し、より多くの生産現場での見える化による改善を目指します。
工場現場の改善の現状
製造業の生産現場では、近年IoT化が進み、機械の見える化が行われています。
また、 機械の見える化によって取得したデータを基に、 現場の業務改善が進んでいます。
一方で、 現場で働く人の見える化はあまり進んでおらず、 人の動きを基にした改善の取り組みは遅れています。
人の見える化が進まない理由として、人の見える化をする機器・システムはコストが高い事、 導入後の設置場所変更が難しい事が挙げられます。
人の見える化に寄与するInQross カイゼンメーカー
株式会社イーアールアイが開発したInQross カイゼンメーカーであれば上記問題をクリアし、 人の見える化に取り組むことができます。
この製品は”貼るだけ”、 “持つだけで、 人の動きを見える化することができます。
現場で働く人が小型のタグを持ち、 工場の機械など、 人が作業する場所にビーコン電波を発信するタグを貼るだけで、 人の見える化ができます。
また、 設置工事をすることもなく、 面倒なネットワークの設定も無しに、ゼロコンフィグで利用を開始できます。
現場の状況に応じて、 測定環境を柔軟に変更することができるのも特徴です。
コストについては、 高度な位置測定システムになるほど、 価格は高額になりますが、 人の見える化を行うのに数十cm の精度は必要ありません。
InQrossカイゼンメーカーは1~2mの精度で人の位置を測定し、コストと効果のベストなバランスになっています。
また、収集したデータは専用のアプリで、リアルタイムに人の位置と動きが見えるようになります。
分析機能も充実しており、ヒートマップや作業者の滞在ゾーン集計などを使い、簡単に分析できるようになっています。
敷地面積の広い工場でも使える広域版の開発
従来のInQross カイゼンメーカーは、 情報を収集できるエリアが、 50m×50m に限定される制約がありました。
このエリアだけでも多くの工場で利用が可能になりますが、大規模な工場では工場全域をカバーしきれないことがありました。
そこで従来の “貼るだけ”、“持つだけ” の手軽さを維持しつつ、敷地面積の広い工場でも使える広域版を開発しました。
50m×50m の情報を収集する機器同士をつなぐアクセスポイントを複数配置。
アクセスポイントが情報を連携し、 データ収集用のパソコンに情報を集約します。
これにより最大200m×100mもの広域をカバーすることが可能になりました。
広い工場でも有効性を確認 広域版での人の見える化を実証
非鉄金属の精密切削加工などを手掛ける株式会社小林精機の現場に、 広域版を設置し、 実証実験を開始しました。
今回は50m×50m の2つのエリアを繋ぎ、 人の見える化を実施。
そこで作業を行う人の動きを、リアルタイムに把握することができることを確認しました。
株式会社小林精機 経営企画室ICT技術課 佐藤光宣氏は「今までは、カバーできる広さの関係から、複数のエリアを行き来する作業の見える化ができなかった。
今回、エリア間の行き来も見える化することができ、 作業動線の最適化も行うことができる。 今後、 見える化するエリアを更に拡張していきたい。」 と述べられました。
事業に対する思い
株式会社イーアールアイ 技術部主任技師 畑中陽一朗様
今回開発したInQross カイゼンメーカー WIDE (広域版) により、敷地面積の広い工場でも活用できるようになります。
これまで機械の見える化により、 現場改善が行われてきましたが、これからは人の見える化をプラスしたハイブリッドの改善が進むと考えています。
人の見える化は、監視されているようで嫌だと言う意見もございますが、これは監視ではなく、働き方改革や最適化のためのツールです。
当社の技術で、 製造現場の改善を促し、 盛岡を中心に工場の生産効率を高め、 地域力の向上に寄与していきます。