2023年4月3日
実証実験レポート②「IT技術を活用した地域医薬連携モデル化事業」
アップルウォッチのアプリ「Hachi」を利用し、薬服用前後のバイタルデータを収集
データ活用により地域社会の健康増進につなぐ
地域医療には数々の問題があります。その一つがポリファーマシー(多剤服用による弊害)です。
高齢になると、複数の疾患を抱えていることが多く、服用する薬の種類が増え、ポリファーマシーが発生しやすい状況になります。
アップルウォッチのアプリ「Hachi」を使い、薬服用前後のバイタルデータを取得。
服用した薬の情報と薬服用前後のバイタルデータを結び付け、情報を分析することで、ポリファーマシー課題の軽減を目指します。
地域医療における問題
少子高齢化が進む中、地域医療には数々の問題があります。その一つが高齢者の見守りです。
高齢になると、免疫力が下がるなど病気によるリスクが高くなるため、高齢者を見守る仕組みが必要となります。
しかし人員不足などにより、上手く機能していないのが現状です。
また、岩手県においては医師の偏在も問題となっています。
医師が常駐していない地域では、都市部から医師を定期的に派遣してもらい、地域医療を成り立たせていますが、県土の広い岩手県では、医師側の負担も大きくなっています。
離れていても、心はそばに
家族のつながりアプリ「Hachi」
地域医療の課題解決の手段として、AP TECH株式会社は、見守りサービス「Hachi」を提供しています。
Hachiはアップルウォッチのアプリとして動作し、利用者の心拍数などのバイタルデータを取得することができます。
また、シンプルな操作性で、高齢者でも利用しやすいことが特徴です。
離れていても家族をつなぎ、見守ることができます。
高齢者の見守りだけでなく、バイタルデータを遠隔医療に活用。医師が常駐していない地域の医療にも有効なサービスとして注目されています。
高齢者とポリファーマシー
高齢化に伴い、ポリファーマシー(多剤服用による弊害)が問題となっています。
高齢者は複数の疾患を抱えていることが多く、診療を受ける医療機関が複数になることが多いです。
各医療機関で処方される薬が最適だとしても、受診先が増えることで、服用する薬の種類が増え、ポリファーマシーが発生しやすい状況になってしまいます。
こうした状況を解決するためには、各医療機関で処方され服用している薬の情報の集約が不可欠。盛岡市内の薬局と協業し、患者の服用する薬の情報を集約します。
また、Hachiと連携させることで、薬服用前後のバイタルデータを結び付け、情報を分析することで、ポリファーマシー課題の軽減を目指します。
DXファーマシー
この取り組みは、まちの健康ステーション化を目指す薬局や薬剤師の活躍する機会の創出にも繋がる取り組みです。
AP TECH株式会社 代表取締役 大西一朗氏はこの取り組みをDXファーマシーと呼んでいます。
薬服用前後のバイタルデータの分析は、地域社会における健康増進の役割を担う薬局や薬剤師にとって有効な情報となります。
薬の効き具合や薬服用前後の体調の変化を確認できるようになれば、薬剤師がより的確なアドバイスを提供できるなど今よりも患者に寄り添った対応をすることができます。
DXファーマシーの第一歩!
データ収集開始
盛岡市内で薬局を利用している方10数名を対象に、Hachiを使用し、バイタルデータを収集しました。
収集したデータを分析し、日々のバイタルと薬効の関係性を可視化することに成功しました。
今後は順次データ提供者の人数を増やし、対象地域も広げながらデータを収集していきます。
今後の展望
「データ解析の結果というのは、薬局や薬剤師がより的確にアドバイスできるように活用するだけでなく、利用者の方にも有効な情報になる。利用者にも情報をフィードバックして健康増進につながる仕組みを考えたい」とAP TECH株式会社代表取締役の大西一朗氏は述べていました。
事業に対する思い
AP TECH株式会社代表取締役 大西一朗
-
もともとは離れた場所に住んでいる自分の両親が心配で、離れていても見守ることができたら安心だという思いからHachiを作りました。
Hachiを使っていく中で、地域の見守りや遠隔診療にも役立つのではないかと感じたのが、この事業のきっかけです。
私は、薬剤師の仕事のひとつに患者をフォローアップして見守ることがあると思っています。
患者のフォローアップにHachiのデータを役立て、薬剤師を支援していくことで地域医療の課題解決につながると思っております。