MULTI MONO Morioka

活動紹介

2023年4月3日

実証実験レポート④「自動運転EVで城跡を巡る「MorioKart」走行デモ事業」

 

自動運転EVで降雪期の盛岡城跡公園を巡る
盛岡における地球に優しく新しい観光交通システムの実現可能性を探る

人口減少や高齢過疎化が進むなか、IoTを活用した安全運航技術が目覚ましく進化しており、なかでも自動運転に注目が集まっています。
盛岡における自動運転EV(電気自動車)の可能性を探るため、降雪期での走行デモンストレーションを実施します。
また、盛岡の魅力ある観光資源をより多くの人に知ってもらうため、盛岡城跡公園を巡る「まち歩き」ツアーを行います。
自動運転EVで「また来たい」という気持ちになるような新しい観光の形を目指します。

 

 

注目が集まる自動運転EV
自動運転EVは、交通事故の減少や渋滞の緩和などの効果が期待され、さらに排気ガスを排出しないため環境に優しくクリーンだと注目されています。
現在様々な企業や団体で研究が進められ、目覚ましい進化を遂げています。
そんな話題の自動運転EVを、映像を使ったコンテンツによる地域の活性化に組み合わせたいという考えから今回の実証実験が始まりました。

 

電磁誘導式を採用!
自動運転には様々なシステムがあります。
今回は電磁誘導式を採用しました。
これは車体に搭載した磁気センサーで路上に敷設されている誘導線を感知し、ハンドルを制御する手法です。
車両は誘導線に従って走行しますが、進路上に障害物がある場合はステレオビジョンで認識し、減速や停車を行い、乗員と周囲の安全に配慮します。

 

北国に合う自動運転を
今回走行する自動運転EVは低速走行車であるため、雪道でもタイヤチェーンをつければ走行が可能です。
しかし実際に運用していくためには、路面凍結やブラックアイスバーン路面、ホワイトアウトによる視界不良などの悪環境下でも安心安全に走行させる必要があります。
そのため多様なセンサーや高精細カメラを車体に取り付けて、道路状況をリアルタイムで把握します。
将来的には、車車間・車路間通信により、道路状況を周囲の車や路肩サーバーへ伝送し共有。情報共有を周囲と共有することで注意喚起が可能となります。

 

自動運転と観光「MorioKart」
自動運転EVは少人数グループの移動に適していることから、盛岡城跡公園を訪れる少人数グループに向けた「まち歩き」ツアーを実施します。
ツアーに参加する方に親しみを持ってもらえるように、自動運転EVに「MorioKart(もりおカート)」と名付けました。
将来的には、観光客の手持ちのスマートフォンに季節違いの風景やかつての城郭を想起させる映像の提供も行う予定です。
これらのコンテンツを配信することで、「また来たい」という気持ちになれるような観光の形を目指します。

 

盛岡市初の試み!
自動運転EVの走行

2023年1月22日(日)、ついに自動運転の実証実験を行いました。
積雪が残る中、盛岡城跡公園で行ったまち歩きツアーには90名を超える一般の方が参加され、大盛況となりました。
急な坂道も多い盛岡城跡公園ですが、凍結した坂道をしっかりと力強く登っているMorioKartの姿が見られました。ルートから外れることなく、停止位置でもしっかりと止まり、雪国での安全な運行を確認できました。
一般の参加者からも「足が不自由で、坂の上にある盛岡城跡公園には来られないと思っていた。自動運転で来ることができてとても感動した」という声が聞かれました。
株式会社フロムいわて代表取締役の野田尚紀氏は「参加者も多く、自動運転EVに対する関心の高さを実感した。自動運転EVを用いた観光ツアーは、盛岡の魅力ある観光資源をより多くの人に知ってもらう手段になると思う」と述べられました。

 

今後の展望
盛岡城跡公園以外にも、盛岡近郊の観光資源はまだまだ沢山あります。
様々なエリアで自動運転EVを走らせるツアーを実施し、盛岡の魅力をさらに知ってもらいたいと考えています。
また、今回の参加者の声を反映させ、乗りやすく観光を楽しめる自動運転EVを目指しています。

 

事業に対する思い
株式会社フロムいわて 代表取締役 野田尚紀

自動運転EVを実際に走行させることにより、新しい観光の形が見えてきたと感じています。
盛岡をさらに多くの人に愛していただけるような観光交通システムに育てていけたらと思っています。
また、降雪期の実験で、車載カメラやセンサーから得られたデータが、雪国での安全走行に役立つことを確信しています。
満足度の高い観光を実現する移動手段というだけでなく、路線バスの運転士不足の解決にも活用できる盛岡の街に合った自動運転EVを実現したいです。